バブル崩壊の原因(BIS規制)をわかりやすく解説

日本経済における大きな転換期として、バブル崩壊があります。

バブルは勝手に発生して、勝手にはじけたわけではなく、世界的な思惑により発生し、潰されたということをご存じでしょうか?

今回は日本経済におけるバブルが何故発生して何故崩壊したのかをわかりやすく解説します。

バブル発生とプラザ合意の関係性

まずはバブルが発生した経緯を解説する為に、バブル発生に大きく関わりのあるプラザ合意について説明します。

プラザ合意とは、1985年9月にニューヨークのプラザホテルにて「米ドルの通貨安を推進」する為に行われた国際合意です。

何故そのような合意が必要になったのか、背景は以下になります。

①当時、240円/USD前後と、とてもドル高となっていた。

②ドル高により、米製品は高く、輸入品は安くなる為、米国は輸出減、輸入増となる。

③米国は貿易赤字を抱える。

④貿易赤字増大をよしとしない米国はG5※に為替の協調介入を呼びかけ。

※5G:日・米・英・独・仏

これにより米ドル安を推進する「プラザ合意」へと至りました。

一方、当時の日本円はとても過小評価されており、日本は円安を利用して貿易黒字を拡大しておりました。

しかし、1985年のプラザ合意により、米ドル安推進の動きが有り、日本円は240円/USD 前後から160円/USD 台にまで円高が進みます。

円高が進む事で、日本の輸出産業は多大なダメージを受けます。

為替変動が輸出産業の利益に与える影響は以下の図をご参照ください。

円高による輸出産業へのダメージを懸念した日本は、円高を止める為に金利の引下げを行います。(日本円の金利が下がれば、日本円を手放す人が増えて円安に進む為)

金利が下がると、次に何が起こるでしょうか?

金利が下がることで、融資を受けやすくなる為、企業は積極的に融資を受けて投資を行います。そうすると、市場に出るお金の全体量が増えるので、物価が上昇してインフレが進みます。

これにより、不動産への投資も過熱して、不動産の価値は上がり続けるという「不動産神話」が出てきます。

ここまでが、日本のバブルが発生した経緯となります。

簡単にまとめると以下の様な流れになります。

バブル崩壊は諸外国によって意図的に起こされた BIS規制とは

バブルは、インフレが膨れすぎて弾けるべくして弾けたと思われる方も多いかと思います。

実は諸外国によって意図的に潰されたという事実を、本章ではわかりやすく解説いたします。

前章で述べたように、元は米国を助ける為のプラザ合意に端を発して始まったバブル景気ですが、当初、欧米の諸外国はこの機に日本円を獲得する好機として見ておりました。

しかし、日本の円創出量は諸外国の予測をはるかに上回りました。

当時日本の銀行は低金利での貸付(薄利多売作戦)により、国際シェアを伸ばし、1988年時点で国際業務を行う銀行の預金残高において世界トップ10を日本の銀行が独占するにまで至りました。

これにより、日本にはお金があふれ、日本企業は諸外国の企業買収にも莫大な資金を投入できるようになります。

当時、三菱地所はロックフェラーセンターを買収し、松下電工(現パナソニック)がユニバーサル映画を買収、ソニーがコロンビア映画を買収するなど、破竹の勢いを見せました。

この破竹の勢いにより、日本は諸外国から反感を買うこととなります。

日本の勢いを止めたい諸外国は、1987年にバブル崩壊の直接的な原因となるBIS規制を発動します。

BIS規制を説明するにあたり、まずは自己資本比率という言葉について説明します。

銀行の自己資本比率というのは、貸付出残高を含む「総資産」に対する「自己資本」の割合のことです。

計算式でいうと、「自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100(%)」となります。

銀行の自己資本には「資本金」「法定準備金」「余剰金」「株式の含み益」が含まれます。

一方、総資産には「貸出残高」「有価証券」が含まれます。

即ち、「貸出残高」が増えると分母の「総資産」が増えるので、自己資本比率は下がります。

当時、諸外国の銀行では、自己資本比率は概ね6%以上でした。

これに対して、日本の銀行は「薄利多売」の貸付を行っていた為、自己資本比率は2~3%となっておりました。

ここからBIS規制についての説明になります。

BIS規制は、先ほど説明した「自己資本比率」に対する規制です。

国際業務を行う銀行に対して「自己資本比率」を8%以上確保することを義務付けるという内容の規制です。

もともと6%以上を確保している諸外国には達成可能な数字であっても、日本の銀行においては、到底達成できるはずもなく、1992年のBIS規制本格適用に向けて、日本の銀行はやむなく融資先からの資金回収(貸しはがし)を行います。

これにより、融資を引き揚げられた企業が次々倒産して、1991年~1993年にかけてバブルは崩壊しました。

バブル崩壊による日本経済悪化は日本政府の金融引締め失敗によるものという意見もありますが、上記の背景を踏まえるとBIS規制の「8%」という数字には「日本を潰す」という悪意を感じずにはいられません。

最後に、

バブル当時においても、BIS規制の知識がある人はいち早く投資先から資金を引揚げることで、損失を防げたのではないかと考えます。

今後の日本においても、円安促進の為に金融緩和を続けると、第2のバブル発生のリスクが有ります。その際、引き時を見誤ると、多大な損失を抱えることになりかねません。

そのようにならない為にも、金融知識をつけることで、備えるのはいかがでしょうか?

他にも金融関係の記事を書いておりますので、ご興味がある方はお読みいただけると幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。