事業を行う方は、継続的に事業を発展させて、安定的に利益を出し続ける事を日々考えておられるかと思います。そしてその為には「KPIを設定して管理する必要がある」といったことを耳にする事があるかもしれません。今回は事業継続に必用なKPIには具体的にどういったものが有るのかを解説していきます。
目次
KPIとは何か
KPIとは「Key Performance Indicator(キー パフォーマンス インディケーター)」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」と呼ばれるものです。
またこれは、事業において、目標達成を図る為に絶えずチェックすべき数値・指標とも言えます。
KPIには以下の3種類が有ります。
1)最終的なゴールに至るまでの進捗度を測る指標
2)目標の要素分解
3)目標までのプロセスを分解したもの
1)進捗度を測る指標
例えば、年間売上1億円、営業利益10百万円を目指している場合、4半期では売上25百万円、営業利益、2.5百万円を達成できているかどうかといった見方で、目標に対する進捗度を測り、未達の場合は挽回策を講じたり、過達の場合は年度目標額を上乗せする等のフィードバックを行います。
そのほかにも、コスト削減や在庫削減等でも進捗管理のツールとして活用できます。
2)目標の要素分解
例えば、売上高1億円を品種別や顧客の年代別等で分解する事で、狙った品種が狙った市場で売れているのかという事を把握することができます。これにより、注力すべき製品や市場を明確にして、リソース(人員、資金、設備等)を効果的に投入して利益の最大化を図ります。
3)目標までのプロセス分解
例えば、受注目標10件に対して、見積依頼は20件必要。
見積依頼を20件受ける為には、顧客訪問50件必要といった形で、最終アウトプットに至るまでの各工程の目標値を設定して達成度を管理する事で、どのプロセスに過不足があったかを把握して、適切なリソース分配を図ります。
事業継続に必用なKPIの考え方の例
KPIを設定する為には、まず管理の目的を明確にすることが大事です。
今回は製造業を例にして「継続的な利益確保と事業成長」を目的として考えます。
上記目的達成の為には、以下3点が必要となります。
1)売上拡大
2)コスト削減
3)リソース(人員、資金、設備)確保
KPIの選定には以下の記事も参考になるかと思います。
1)売上におけるKPI
売上におけるKPIとしては、前項の2)目標の要素分解が有効です。
例として、品種別、顧客業種別、年代別といった分け方で売上の内訳を分解します。
それにより、自社の品種別生産戦略や、拡販戦略の効果を評価する事ができます。
品種別生産戦略や拡販戦略の立案については以下の記事がご参考になります。
また、業種別や顧客年代別の新規商談数や商談金額をKPIにする事で、成長市場や成長業種で適切な拡販を行えているかの判断材料にもなります。
2)コスト面でのKPI
コスト面でのKPIとしてまずは、売上に占める各種原価の構成を把握する事が大切です。
原価には材料費、労務費、製造経費、販売管理費が含まれます。
これらの原価構成比を把握することで、どのコスト低減に注力すべきかの判断材料となります。そして、原価構成を月度や年度での推移グラフとして管理する事で、原価低減の進捗管理にも利用できます。
また、市場価格レベルと自社コストを品種別やサイズ別等でグラフにプロットする事で、採算の良い分野に注力する為の判断材料としても活用できます。
3)リソース面でのKPI
リソース面は①人員、②資金、③設備に分けて考えます。
①人員
人員は大きく、直接人員(調達、生産、販売の事業活動に携わる人員)と間接人員(人事、経理、法務等、事業をサポートする人員)に分けられます。
直接人員と間接人員の人数をKPIとする事で、事業規模に対して管理費用が掛かり過ぎていないかという判断材料となります。
また、年代別人員数をKPIとすることで、将来的な人員不足等のリスクを認識して対策を講じる事ができます。
②資金
資金面で最も大事なのは資金安全性を確保する事と考えます。
資金安全性を見るのに役立つ主だった指標として「流動比率」、「固定長期適合率」、「自己資本比率」が挙げられます。
・流動比率:流動資産÷流動負債 ・・・1年以内に支払う必要のある負債を流動資産でどれだけ賄えるかの指標)
・固定長期適合率:固定資産/(自己資本+固定負債)・・・固定資産を自己資本と固定負債でどれだけカバーできているか。これが低いと、固定資産を流動負債でカバーしている事になる。理想は200%以上。
・自己資本比率:自己資本/総資本 ・・・総資本における自己資本の比率。長期借入による設備投資を積極的に行っている時は低くなる。
③設備
設備におけるKPIとしては、設備投資金額と減価償却額が挙げられます。
ある程度安定している事業においては、設備投資金額と減価償却額がイコールになる事で、適切な老朽更新が行えているとする見方もあります。
まとめ
今回は製造業におけるKPIを一例として挙げましたが、ここで示したように、適切なKPIを設定することは、経営判断を行う上でとても役立つ判断材料となります。
本記事が貴殿の事業発展の一助となれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。