お金を働かせるとは?わかりやすく解説。資本コストという考え方を理解する

「お金を働かせることが大事」という話を本やメディア、日常会話でも耳にすることがあるかもしれません。しかし、「お金を働かせる」とはいったい何なのか分からない方は少なくないのではないでしょうか?

今回はそこにフォーカスしてわかりやすく解説します。

まずは資本コストという考え方を理解する

「お金を働かせる」という概念を理解する為に、まずは資本コストという考え方を理解する事から始める事をお勧めします。

資本コスト」とは、一言でまとめると「お金を持つ為に発生する費用」です。

お金を持つ事で費用が発生するという事に「?」となるかもしれませんが、一例として、住宅ローン金利を思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。

住宅ローンは、家を買う際に、手元資金で足りない分を銀行等から借り入れて、借入額に応じた金利を支払います。

即ち、不足するお金を調達して保有する代わりに金利という費用を負担するという事です。

この資本コストというものは個人のローンに限らず、会社の事業活動においても同様に当てはまります

例えば、株式会社は株を発行する事で資本金を調達しますが、そのコストとして配当金を支払います。

また、銀行等から借り入れを行う場合は、金利を負担します。

社債を発行した場合も、利回りを負担する必要が有ります。

このように、資金を他者(銀行や投資家)から調達した際に発生する費用を「資本コスト」と呼びます。

お金を働かせるとはどういう事なのか

では、この「資本コスト」と「お金を働かせる」とはどのような関係があるのか。

「資本コスト」を負担する側がいれば、逆に受け取る側も存在するという点に気づければ、「お金を働かせる」という概念が少し見えてくるのではないでしょうか?

即ち、「資本を借りる側ではなく、貸す側に回る事で資本コストを受取る」ということが、「お金を働かせる」ということであるといえます。

ただ、この説明だけでは、「お金を貸して利息を取るなんて、よくわからない」となるかもしれません。

しかし、銀行や郵便局に預貯金をしている方は、既に金利という形で「資本コスト」を受取っていることにご注目ください。

近年では、超低金利となっており、100万円を1年間預けても金利は100円くらいしかつかないので、お金はお金を生むという事が見逃されがちですが、1980年代では、銀行金利でも年6~8%ついていた時代もありました。

そうすると、100万円を1年預けて6~8万円が金利として入るので、銀行に預けているだけでお金がお金を生む、すなわちお金が働いてくれる時代だったといえます。

銀行金利が下がった要因

銀行金利は何故ここまで大幅に下がったのか。

最も大きな要因はバブル崩壊です。

バブルの時代には、実際の現金以上に架空の資金を生み出す「信用創造」に歯止めがなく、金融経済における資金はどんどん増えていきました。

しかし、BIS規制に

端を発して、信用創造に対する規制が強まった事で、銀行は貸し付けていた資金の貸しはがしに踏み切ります。これにより、バブルは崩壊し、景気は一気に悪化します。

なお、「信用創造」と「バブル崩壊」については以下の記事で詳しく解説しておりますので、興味があればこちらもお読みください。

金融関係の話で「信用創造」というワードを耳にすることがありますが、「信用創造」が具体的にはどういうものなのか、わかりやすく解説して行きます。経済の仕組みを理解する上でとても大事な概念になりますので、是非ともしっかりと読んで理解を深めていただけると幸いです。
バブルは勝手に発生して、勝手にはじけたわけではなく、世界的な思惑により発生し、潰されたということをご存じでしょうか?今回は日本経済におけるバブルが何故発生して何故崩壊したのかをわかりやすく解説します。

バブル時代に大規模な投資を行っていた企業が多数倒産したことを受けて、各企業は投資及び資金調達に対して慎重にならざるを得なくなりました。その結果、日本の経済成長は鈍化して、他の先進国に遅れをとるようになりました。

その対策として日本政府は大幅な金融緩和(金利の引下げにより、市場に資金が多く回るように働きかけ)を行いました。その後、経済成長を続ける為に金融緩和(金利引下げ)をし続けた結果として、現在の超低金利状態に至っております。

そして、この超低金利は経済成長を促す為の物なので、今後も継続する事が見込まれます。(戻したくても戻せない状況です)

物価の上昇にも注意が必要

超低金利の時代において、もう一点注意すべき事象として「物価上昇」があります。

物価上昇といっても100円のトマトが120円になったからと言って、トマト自体の価値が変わったわけではないので、物に対するお金の相対価値が下がったと考えるのが正しい理解です。

即ち、物価が1%上がるという事は「お金」の相対価値が1%減るということです。

現在日本政府は年2%の物価上昇を目標に掲げており、実績としては大体年1%ずつくらい物価が上昇しております。

実はこれは、預貯金をしている人にとっては非常に恐ろしい話です。

100万円を貯金していて、1年後に金利が100円付いたとしても、お金の相対価値が1%下がるとトータルでの資産価値は1,000,100円×99%=990,099円となり、およそ1万円分も目減りするという事です。

つまり預貯金をしていると、資産は減り続けているという事なのです。

具体的なお金の働かせ方

預金をしていたら資産が減っていく。なのでお金を働かせる必要がある。

となった時、具体的に何をすれば良いかですね。

銀行預金は、「間接金融」とも呼ばれ、銀行が超低金利で預かった資金を基に、銀行から企業や個人への貸付を行う事で金利を得るという仕組みです。

一方で、株式や債券のように、自分の資金が直接企業に結び付くお金の流れを「直接金融」と呼びます。

「お金を働かせる」為にはこの「直接金融」に資金を投入していく必要が有ります。

「直接金融」においては、基本的にリスクも自己責任で負うことになり、知識なき投資はギャンブルに他ならないといえます。

その為、まずはどのようなものに資金投入すべきかを見極める為の知識をつける所から始める事をお勧めします。

直接金融の代表として、近年最も身近なのは株取引かと思いますので、ご参考に株取引の始め方についての記事も以下に記載しております。(株の選び方についても記載しております)

銀行金利が低迷する昨今において、投資への関心は高まっておりますが、株を買おうにも、何から始めたらよいか分からないし、損をするのではないか不安という方も多いのではないでしょうか? そのような方のために、株を始める為の手順と、株の選び方をご説明いたします。

働かせるお金がない場合

ここまでは、あくまで「働かせるお金」がある場合のお話でしたが、ここからは、「働かせるお金」がない場合に取れる方策をご提案します。

それは、「不動産投資」です。

何故、不動産投資なのかというと、投資の中で、唯一他者のお金を使って投資ができるからです。

A社の株を買うのでお金を貸してくださいと銀行に行っても融資を受ける事はできません。

なぜなら、A社株が上がる確証があるならば銀行は直接A社株を買えばよいですし、A社株が暴落した際には、貸し倒れになるリスクが有るので、A社株を買う為の資金を個人に融資するという事は基本的にあり得ないのです。

しかし、不動産においては、現物資産を担保にすることでリスクヘッジもでき、貸し倒れになるリスクが小さいことからも銀行からの融資を受けやすいというメリットが有ります。

不動産投資の凄い所は、他者の資金を使って投資して、他者から得た家賃収入でローン支払いを行った後、利益が手元に残るという点です。

もはや「投資は余裕資金がある人が行うもの」ではないのです!

ただし、不動産投資には、ぱっと見の収支計画では見えにくいリスクが有ります。

例えば、空室リスクや修繕費、税金等により利回りがマイナスになるリスクもあります。

ですので、不動産投資の際には、リスク面をしっかりと確認したうえで、採算がとれる物件を選ぶことが非常に大切になります。

不動産投資をご検討の際は以下の記事も読んで頂くことを強くお勧めいたします。

将来に備える資産運用の一つに不動産投資があります。 今回はそのメリット、デメリット、注意すべき点について情報をシェアします。

まとめ

本記事のポイントをまとめます。

・お金には「資本コスト」がかかる

・「お金を働かせる」とは「資本コスト」を受ける側になること

・銀行預金では資産は減っていく

・直接金融(株、社債、不動産等)に資金投入する

・知識なき投資はギャンブル。まずは知識をつけましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

本記事が、貴方の豊かな生活の一助になれば幸いです。