FXでテクニカルトレードをしているかどうかに関わらず、誰しもが「ダウ理論」という言葉を1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ダウ理論は現代テクニカルの根幹と言える重要な理論です。ダウ理論をしっかりと覚えてしまえば、テクニカルトレーダーとしての考え方や相場の見方に一段の深みと広がりが出てくるかと思います。
目次
FXのテクニカルの骨子はダウ理論である
ダウ理論とは、アメリカの証券アナリストであるチャールズ・ダウが提唱した理論です。ダウ理論は6つの法則で成り立っていますが、その内容というものは簡単に言うとトレンドの評価方法についての説明です。
この理論は非常にシンプルかつ合理的なので、現在のテクニカル分析にもそのまま使用されていたり、応用された形で利用されています。
ダウ理論の6つの法則は以下の通りとなります。
・平均はすべての事象を織り込む
・トレンドには3種類ある
・主要トレンドは3段階からなる
・平均は相互に確認されなければならない
・トレンドは出来高でも確認されなければならない
・トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する
最初の「平均はすべての事象を織り込む」は、市場に影響を与えるような全ての物事は既に価格に反映されていると言うことを意味します。これをテクニカルの面から解釈すると、相場はテクニカル分析で対応可能ということです。
「主要トレンドには3種類ある」とは、トレンドのサイクル(期間)は3つの長さに分けられると言っています。その3つのサイクルとは、「3週間未満の短期サイクル」、「3週間から3ヶ月の中期サイクル」、「1年から数年の長期サイクル」です。
チャートで言うならば、日足レベルの小さなトレンドや月足レベルの大きなトレンドがあると言っています。実際には1時間足や5分足といった更に短い期間でもトレンドを確認することができます。
「主要トレンドは3段階からなる」とは、トレンドはその発生から終了までの間を3段階に分けられると言うことです。トレンドは「先行期」、「追随期」、「利食い期」の3段階に分けられます。
先行期は一部の投資家が相場の天井や大底で逆張りの仕込みをする時期です。逆張りが失敗するリスクは大きいものの、成功すると大きな利益が期待できる段階です。
追随期は天井からの下落や大底からの上昇を確認した投資家が追随して売買を始める時期。一般的にはトレンドの中間帯に該当します。
最後の利食い期は、先行期に仕込みをした投資家が、価格が十分に上昇したのを確認して利益を確定させる時期です。価格には伸びしろがあるものの、それまでの上昇幅と比較すると小さなものとなっています。この時期の新規取引は、天井や大底を掴むリスクが高くなりますので注意が必要です。
「平均は相互に確認されなければならない」は、トレンドの確認は2つ以上の指標をもってされなければならないといった意味です。
例えばドル円の上昇トレンドが発生したかどうかは、同じドル絡みのユーロドルやポンドドルが下落していなければいけないと言うことです。
つまり、単独の通貨ペアのみでトレンドの有無を判断するのは避けるべきなのです。
「トレンドは出来高でも確認されなければならない」は、株価においては有効な理論ですが、為替では出来高の確認をするのは不可能なので余り意味はありません。
テクニカルトレーダーの場合は移動平均線などのインジケーターで判断するようにすれば良いでしょう。
「トレンドは明確な転換シグナルが発生するまでは継続する」は、そのままの意味です。トレンドに逆らってトレードしてもリスクが高いだけで収益を上げるのは難しいと解釈できます。
このように、ダウ理論はトレンドについてシンプルで解かりやすく定義しています。テクニカル分析をしていく上でダウ理論の教えは非常に重要になってきますので、しっかりと覚えて自分のものにしていきましょう。
FXにおけるトレンドラインの重要性
前回の記事でも少し取り上げましたが、ダウ理論を踏まえた上でトレンドというものを考えると、トレンドラインはトレンドを把握する上でとても重要なツールだという事が分かります。
何故ならトレンドラインを引くには少なくとも2点の最安値・最高値が必要になるのですが、その2点を用いてトレンドラインが引かれた時期というのは、ダウ理論で言うところの追随期にあたるからです。
もしも実際にトレンドが発生したとするならば、追随期はある程度の利益を見込める時期なので、効率的なトレードができる可能性が高い訳です。
これはあくまでも一例ですが、ダウ理論の知識を用いると、単にトレンドラインの使い方を知っているよりもチャートの見方が大きく変わってきます。
テクニカル分析でトレンド判定の精度を上げようとすると、つい深入りし過ぎて何をしているのか分からなくなったり、ルールが複雑になり過ぎて使えなくなってしまったりしがちです。
そのような時は一度原点に戻って、ダウ理論やトレンドラインについて考察し直すことをオススメします。基本的な物事について考え直すと、今まで気付かなかったような発見があったり、悩んでいた問題が解決をしたりすることがあります。
テクニカルについて勉強をし始めた頃はつい、インジケーターにばかり目が行ってしまいますが、そうしたツールをフルに役立たせるにはトレンドラインのような基本的なツールを使いこなせることが大切なのです。
FX初心者向けお勧め口座開設は下記リンクの記事をご参照ください。
