貿易のメリットをわかりやすく解説

貿易のメリットをわかりやすく解説していきます。

リカードの比較生産費説(比較優位の理論)

貿易のメリットを理解する上で、必要な知識として、リカードの比較生産費説(比較優位の理論)というものがあります。

技術的に優劣のある2国間における貿易は、優位な国の一人勝ちになり、劣位の国にとっては損害をもたらすという懸念を持たれる場合があります。しかし、技術的に優劣のある2国間の貿易は両国にとって利益をもたらすというのがリカードの比較生産費説になります。

例として、アメリカとフィリピンの生産性を比較してみます。

農作物 工業製品
アメリカ 4 2
フィリピン 5 10

上記表の数値は1単位の生産を行うのに必要な労働投入量です。例えば、アメリカは農作物1単位生産するのに4の労働量が必要となります。

上記の例において、農作物、工業製品共にアメリカはフィリピンよりも少ない労働量で生産できるという事になります。即ち、農作物、工業製品どちらにおいても、アメリカはフィリピンよりも優れた技術を持っていると言えます。これを言い換えるとアメリカはフィリピンに対して、農作物、工業製品において「絶対優位を持つ」と表現されます。

次に各国内における各財の生産に必要な労働投入の比率に注目します。

すると、アメリカでは工業製品生産の必要労働量は農作物の半分(2/4)ですが、フィリピンでは工業製品生産の必要労働量は農作物の2倍(10/5)です。

即ち、アメリカは工業製品生産が得意である一方、フィリピンは農作物の生産が得意だといえます。

これを言い換えると、「アメリカは工業製品に比較優位を持つ」、「フィリピンは農作物に比較優位を持つ」と表します。

上記の例を見ると、工業製品、農作物の両財においてアメリカが絶対優位なので、一見すべてアメリカで生産するのが良いように見えます。

しかし、実際は労働力は有限である為、比較優位な工業製品に特化して、農作物の生産をフィリピンに任せる方が、労働力を有効に使う事ができます。

フィリピンにとっても、比較優位な農作物の生産に特化して、工業製品の生産をアメリカに任せる事で、同じ労働力でより高い生産性を発揮できます。

これらのことから、貿易は両国にとってメリットがあると考えられます。

貿易のメリットから学ぶお金の稼ぎ方

自由貿易における完全競争下においては、各国は自国内で比較優位を持つ財を輸出して、比較優位を持たない財を輸入することで、貿易のメリットを享受できます。

しかし実際は関税がかかる事で、完全競争とはならず、グローバル全体での利益は疎外されております。そこで、近年各国間において自由貿易協定(FTA : Free Trade Agreement)を締結することで、貿易のメリットをより大きく受けようという動きが活発化しております。

自由貿易が活発化する事で、比較優位を持たない産業に携わっている事業主は海外攻勢により苦しくなる事が予測されます。

ですので、新規に事業を立ち上げる際は、比較優位、絶対優位の両観点において継続的にグローバルでの競争力を持てる分野を選ぶのが良いのではないでしょうか?

残念ながら日本は資源が豊かな国ではありません、なので農業や酪農において、アメリカやオーストラリアといった国に価格面で勝つことは困難です。

しかし、生産量を絞る事で、より丁寧な生産を心掛け、品質で優位性を持つ事は可能です。そうする事で、戦う土俵を変えてしまうというのも、効果的に稼ぐ上では有効な手段といえます。

まとめると、お金を稼ぐ為には、自分の得意分野で戦う事で優位性を示して顧客を取り込み、効率よく収益を得る事が大事といえます。

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