少子高齢化による年金問題により、老後の備えとして不労所得を持ちたいと考える人は少なくないと思います。不労所得には、知的財産における印税や不動産所得、株の配当等も含まれます。
税制面においても、不労所得は労働所得と比較して優遇される事が多いので、その差について解説します。
目次
給与所得にかかる税金 最大税率55%
まずは、一般的に最もなじみのある給与所得について解説します。
給与所得とは、会社員の給与、賃金、賞与(ボーナス)、役員報酬が含まれます。また、そのほかにも金銭以外の物や権利、その他経済的利益を会社から受けた場合は給与所得として、課税対象となります。
給与所得にかかる税金は所得税と住民税に分けられます。それぞれの税額は以下の式で求められます。
住民税額 = 前年課税所得 * 10%
所得税 = (当年の所得 - 基礎控除額※)* 所得税率※
※基礎控除額および所得税率は以下の表を参照
つまり所得が多い人は住民税(10%)と所得税(45%)を合わせると55%となり、課税所得の半分以上が税金として引かれる計算となります。
上記の計算結果をグラフにまとめると以下ようになります。
このように、給与所得は所得金額が増えると税率が上がっていく為、手元に残る可処分所得はなかなか増えない仕組みとなっております。
株式の配当所得にかかる税率は0%~約20%
次に株式等の配当所得にかかる税金について解説します。
配当所得にかかる税金の税率は以下の計算式で求められます。
配当所得税 =(配当による収入金額 - 元本取得の為の借入金利子)*20.315%※
※所得税15.315%+住民税5%
(国内上場株式以外の配当は20.42%(所得税20.42%、住民税無し))
また、株式の価格が購入時から下がっており、損失が出ている場合は、その損金分は配当所得から差し引くことができます。
さらに、NISA講座を活用した場合は、配当所得にかかる税金は0となります。
ただし、子供向けのジュニアNISAは大人向けのNISA講座と比較していくつか注意すべき点があるので説明しておきます。
ジュニアNISAは18歳まで出金不可
ジュニアNISAは0歳から19歳までの間、年間80万円までの投資において、売買益や配当所得が非課税になる口座です。
ただし、大人向けのNISA口座では出金が自由なのに対し、ジュニアNISAは18歳になる年度の1月まではNISA口座のお金は出金できないという縛りがあります。
その前に出金をする場合は、過去の利益に対して約20%の税金が課せられる事になります。
ジュニアNISAは金融機関変更不可
大人向けのNISA口座は年単位で金融機関を切り替える事が可能ですが、ジュニアNISAについては一度口座を開設すると、金融機関の切り替えができない為、金融機関の選択は慎重に行う必要があります。
ジュニアNISAに親が出資するのは贈与にあたる
ジュニアNISAに親等が資金を入れる場合、贈与に当たります。
贈与税は年間110万円以下の贈与に対しては発生しないので、年80万円までのジュニアNISA分のみの贈与であれば、確定申告も必要有りません。
しかし、ジュニアNISA以外で30万円を超える贈与を受けている場合は、合計金額が110万円を超える為、確定申告をして納税する必要があります。
ちなみに贈与税は、いろいろな人から受けた贈与の合計金額が対象となります。
例えば、Aさんが、Bさんから100万円、Cさんからも100万円の贈与をうけたとします。
個々の贈与額は110万円以下ですが、合計金額は200万円なので、110万円を差し引いた90万円が課税対象となります。
ですので、莫大な資産がある方は、毎年110万円づつ配偶者や子どもに贈与していく事で、将来なくなった時の相続税を少しづつでも減らすことができます。
不動産所得は青色申告等により控除額が大きい
不動産所得は総合課税対象であり、給与所得と合算される為、税率は給与所得と同じく最大55%となります。
ただし、給与所得と異なる点として、様々な費用を課税対象金額から差し引くことができます。例えば、不動産の減価償却費、ローンの利子、固定資産税、不動産取得税、火災保険料、管理費、修繕費等。
また、青色申告をすることで、最大65万円の控除を受ける事ができます。
ですので、経費、減価償却費、青色申告による控除等を組み合わせる事で、課税対象となる所得を小さくして、節税が可能となります。
金持ち父さん貧乏父さんの著者として有名なロバート・キヨサキも著書「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」の中で、勤労所得は50%マネー(50%が税金で持っていかれる)、配当所得は20%マネー(20%が税金で持っていかれる)、不動産所得は0%マネー(税金を0にもできる)と語っています。
このように、同じお金を稼ぐにしても、不労所得の方が、労働による所得より手残りが多いという事が言えます。
最後に
この記事を読むと、せっせと働いて稼いだお金よりも不労所得の方が税金が少ないなんてズルいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、別記事でも申し上げておりますように、所得とは提供した価値に対する対価ですので、不労所得を得ているという事はそれだけの価値を提供しているという事になります。
それに、不労所得とは勝手にできるものではありません。(親から収益物件を引き継ぐ等の特殊な状況は除きます)
不労所得を持つ人というのは、将来楽をする為に、短期的に周りの人の倍働いているのです。
例えば、サラリーマンをしながら不労所得を得る為には、サラリーマンとしての仕事をして、皆が休んでいる間に、不労所得を作る為に働くのです。
それだけの努力をしているので、将来的に楽ができるわけです。
労働所得のみに頼って、老後まで働き続けるのか、若い間に回りの人よりも頑張って、早期リタイヤを手に入れるかは、あなた次第です。
何から始めればわからないという場合は、下記リンクのような無料セミナーを活用して、基礎的なファイナンシャルリテラシーを身につけるのもとても有効な手段です。