FX取引を始めるならば、取引の基本的な仕組みについて学んでおく必要があります。基本を疎かにしてしまうと、その後の取引で正しい判断や認識が出来ずに余計なリスクを背負っていまいかねません。内容はそれほど難しくありませんので、1つ1つしっかりと理解して行きましょう。
目次
FXにおける証拠金取引とレバレッジの関係
FXは外国為替証拠金取引と言われるように、取引をする為には「証拠金」と言われるものが必要になります。証拠金とはFX業者に預ける一種の預託金や担保のようなものです。
FX業者に資金の一部を証拠金として預けることで、トレーダーは通貨の売買を行うことが可能になります。では、なぜ証拠金が必要になるのでしょうか？
例えば1ドル100円のアメリカドルを1ドル購入するには100円がかかります。もしもドルを1万通貨欲しいと思ったら、100万円の資金を用意しなければなりません。これでは資産家やファンド等、豊富な資金を保有する一部の人達だけしかFXができなくなります。そこで考え出されたのが証拠金取引です。
そもそもFXとは為替レートの変動により発生する貨幣価値の差によって利益を上げることを目的としています。この時の売買では実際に購入したお金の代金を支払ったり受け取ったりすることは無く、やり取りしているのは「貨幣価値の差によって発生した損益」だけなのです。この手法を差額決済といいます。
つまり、実際にトレーダーにとって必要となるのは、損失が発生した時に支払うお金だけということになります。この損失時に支払うお金の仮払い金が、証拠金と呼ばれるものです。
証拠金さえ用意すれば、ドルを1万通貨購入する時に100万円も用意する必要はありません。
現在、殆どの国内FX業者では、通貨の取引に必要な金額の4%があれば、その4%分の資金を証拠金として通貨を売買することが可能です。
つまり、わかりやすく1ドル=100円とすると、ドルを1万通貨購入するには100万円の4%である4万円があればよいのです。証拠金という制度を用いると少ない資金でも取引が可能になるので、多くの人達がFXに参加できるようになります。
このように少ない証拠金で大きな資金を動かせるようにすることを「レバレッジをかける(効かせる)」といいます。レバレッジとは、用意した証拠金の何倍の通貨までを売買することが可能かを示した数値です。
例えば、4万円の証拠金で1万ドルの通貨を購入する場合、4万円の25倍である100万円分のドルが購入できる訳ですから、レバレッジが25倍かかっている取引となります。
国内のFX業者では、レバレッジの倍率は25倍までに規制されています。以前は200倍やそれ以上のレバレッジをかけることができましたが、サブプライムローン問題やリーマンショックにより、投資家や銀行・ファンドだけではなく一般人にも多大な被害が発生した為、レバレッジ規制が設けられたのです。
FXはレバレッジを利用することで、少ない資金でも大きな利益を生み出せる魔法の杖のような恩恵をもたらす一方で、資金を一瞬で吹き飛ばしてしまう悪魔のような側面も持ち合わせています。
レバレッジをかけたトレードをする際はリスクについても十分に留意して、無理のない資産運用を心がけるようにしましょう。
FXのスプレッドは手数料と同じ?
以前のFX業者はトレード毎に売買手数料なるものを取っていましたが、現在では特殊なプランに申し込んでない限りは売買手数料は無料となっています。トレーダーはその代わりに「スプレッド」と言われる手数料を取られます。
スプレッドとは簡単に言うと買い値(Bid)と売値(Ask)の差です。チャート画面には売買を申し込む買いと売りのボタンがあると思います。そこに提示されているレートは買いと売りで異なっているはずです。このレートの差がスプレッドになります。
例えば、
ドルの買値が、1ドル=100.000円の時、
ドルの売値は、1ドル＝99.997円となっている場合、スプレッドは0.003円、すなわち0.3pipsだといえます。
このスプレッドはFX業者の仲介手数料のようなものです。
スプレッドの手数料は通貨を購入した時点で発生します。ですから通貨を取引した時の損益は0円でスタートするのではなく、スプレッド分だけ必ずマイナスになっています。
スプレッドは取引コストとして必ず負担するものなので、このスプレッドの値幅が小さい程、負担する費用は小さくなります。言い換えるならば、スプレッドの狭い業者を利用した方が有利になるということです。FX業者がインターネット上でスプレッドの狭さをアピールする背景には、こうした理由があります。
このスプレッドですが、実は常に値幅が固定されている訳ではありません。取引通貨の安定性や取引時間帯、突発的なニュース等によって大きく変動することがあります。基本的にはドル円やユーロドル、ポンドドルといった取引量の多い通貨はスプレッドが狭く安定しています。
それとは逆にトルコリラ円などの取引量が少なく、国内情勢が不安定な国の通貨はスプレッドが大きく開いている傾向にあります。取引時間帯で見ると、取引量の多いロンドン市場やニューヨーク市場が開いている時間帯はスプレッドは安定している傾向にあります。
もし、リスクの少ないトレードを望んでいるのであれば、スプレッドの落ち着いた時間帯に安定して取引されている通貨ペアでトレードをするのが得策でしょう。
FXのトレードではスリッページにも注意が必要
スリッページとは注文を入れた時のレートと、実際に注文が処理された時のレートとの差を意味します。
現在ではトレーダーの注文は全てコンピューターにより自動的に処理がされていますが、それでもやはりタイムラグによるスリッページが発生してしまいます。これはトレーダーの注文をインターバンクへ流すまでの間にレートが変動してしまう為に起こる現象です。
例えばドル円を100.000で買おうと注文したはずが、タイムラグによりドル円が100.003になったところで約定(注文が処理され売買が確定する事)されたとします。その後ドル円が100.10まで上昇し、そこで決済(保有している通貨を手放すこと)したとするならば、利益は9.7pipsとなります。
もしもスリッページが発生していなければ、利益は10pipsになっていたはずです。このようにスリッページにより損をしてしまうことがあります。
このようなスリッページを起こさないためにはFX業者の約定力が肝となってきます。約定力とは注文してから注文が確定されるまでにかかる時間の長さです。
この時間が短いほど約定力があり、スリッページが狭くなります。ですからスリッページによるロスを抑えるには、約定力の確かなFX業者を選ぶ必要があるのです。
また、スリッページはレートが上下に激しく動いている時ほど発生しやすくなる性質があります。スプレッドと同様に、値動きの落ち着いた時にトレードをするようにすれば、ある程度の損失をカバーする事が可能です。
FX初心者向けお勧め口座開設は下記リンクの記事をご参照ください。
